観音菩薩の掛け軸

日 旧暦 9月7日 先負 乙卯 六白金星 Ursula Yrsa V42 23266日目

7月19日の日記を読むと玄関に鏡を取り付けたことが書かれている。この作業の翌日から僕は体調を崩してしばらく寝込むことになった。それまで、家の中央の陰影の間に置かれていた鏡を取り外した後はそこに伯父に書いてもらった掛け軸をかけていた。日本の家に、小さい時から何気なく眺めていた掛け軸があって、それが押入れの中にしまわれていることを知った時、両親なき今、僕がこれを身近に置いて守らなければならないような気がした。身近に置くと言ってもスウェーデンの家には床の間もないので、掛け軸をかけられる場所も見当たらなかったが、それまで鏡が置かれていた場所にかけるのが最もふさわしい気がして、それがきっかけでその鏡を取り外したのである。先日同居人と一緒に日本へ行った機会に、何軸かを持ち帰って来た。今日はそのうちの1幅をかけてみた。見るからに古い、ぼろぼろになりかけた掛け軸である。どのような歴史で家にあるのか分からない。戦争と福井地震の混乱で家には何も残らなかったはずであるが、あるいは奇跡的に残っていたのかもしれない。箱には「観音菩薩」とだけ書かれていた。