堀米さんのバイオリン

水 旧暦 7月5日 大安 乙卯 三碧木星 Henrietta Henrika V34 23206日目

バイオリニスト堀米ゆず子さんがフランクフルト空港を経由する時、その愛用の名器を税関で取り上げられてしまったというニュースを見る。ご本人はどんなにかショックでおありだったろうと思う。僕らの市民感覚では、何故取り上げられたのだろうと思ってしまう。たとえ高価な楽器を持ち込むことがあっても、本人が使用するだけものに対して輸入申告を怠ったなどと言われるのは心外である。持ち込んだ後に当該地で品物に関わる取引が成立した場合に初めて輸入という行為が成立するのではないだろうか。しかも乗り換えでそこを通過しただけではないか。これまでに何度も同じ場所を通過して、一度も指摘されたこともなかったということである。ユーロ危機を巡るヨーロッパ経済事情から当局はそういう見過ごしをしないような方向へ圧力をかけて動いているのかもしれない。心情としてはそういうことであるが、法律的に言えば、多分、カルネカードなどをきちんと用意して通過しなかった方が悪い、ということになってしまうのであろう。だがそういうことを知らない人も多いと思う。次回から注意するように促して、今回は楽器をすみやかに本人に返すべきだろうと思う。僕は品物の価値を数字化することにも本来問題があると思っている。安物の靴でも自分にぴったりで満足度が高ければその価値はその人にとって高いのであり、高価な真珠の首飾りでも身に着けて似合わなければその価値はその人にとって低いものとなる。安い時計でも骨肉の形見であれば大事なものだ。一旅行者が本人にふさわしい持ち物を持っているなら、境界を通過するたびに持ち物に対して課税するという考えは根本がおかしいと思う。