スウェーデンに戻る

火 旧暦 5月14日 赤口 乙丑 八白土星 Aurora V27 231536日目

またスウェーデンに戻ってきた。機内ではなかなか眠られないが、かといって、本を続けて読むだけの元気も無くて、肩の凝らない読みかけの本をちょっと読んでは休むことを繰り返した。新潮文庫の「私の銀座」という本を読んだ。豪華な顔ぶれの各界著名人による短いエッセイ集である。もう既に亡くなっている方も多く含まれているが、その分ちょっと昔の様子を思い出させてくれたり、想像させてくれるところもあった。軽妙なタッチの文章が多くて、実に楽しい1冊である。読み終えると後は画面に映る地図と飛行機の位置をぼんやりとながめる。関西国際空港を出る時は雨模様であったが、ヘルシンキ空港では晴れていた。飛行機が着陸態勢に入ると、カメラが前方の滑走路を映し出す。遠くの小さな白い長方形がそれらしい。まっすぐにそれに向かって進むと様子は次第にはっきりしてくる。やがて進入の向きを示す数字の上を通過したかと思うと、ガタンという振動があって、着地。その後はやや急な制動がかかる。減速された機体は滑走路を離れてターミナルビルのゲートへ移動する。この移動はタクシーとよばれている。飛行機がゲートに到着していよいよ駐機しようとする時、日本の空港だと、正面に地上の整備士が待っていて、パイロットに向かって両手を使って手旗信号を送って、正確な停止位置を合図しているが、よその国の空港にはこういう人がいない。いなくても飛行機は正確に止まってくれるから、必要ないのかもしれないが、やはり、ああいう人がいてくれた方が安心であると僕は思う。乗り換えた後、ストックホルムの空港も晴れていて、夕方ではあるがまだ明るい空港に降り立った。