空港にて

火 旧暦 閏3月25日 先負 丙子 七赤金星 Sofia Sonja V20 23107日目

空港へはたいてい少し早めに行くようにしている。チェックインをすませ荷物を預けてしまえば、あと搭乗するまでの時間はちょっと一息つくことのできる貴重な時間となる。この時間に朝食をとることも多い。日本とお別れする儀式の食事であるから、この時何を食べるか、無造作に決めることはできない。今日はカレーライスを注文した。熟考した割には結果が単純な気もしたが大事なのは結果ではなく過程である。きれいなお姉さんが辛さはどうしますかとやさしく聞いて来る。「中辛でお願いします」。朝早く起きて出発の準備をしたものだからお腹がすいてきた。それでトーストでは物足りない気がしたからカレーライスにしたのだが、隣の人がうまそうにパンをほおばっている。注文した後でやっぱりトーストと玉子焼きの方が良かったかなと後悔する。こういう風に注文を決めてからも移り気であるのが僕の悪いところだ。出発まで間があったのでコーヒーも頼んだ。最近は小さな袋に入った砂糖とプラスチック容器に入ったミルクを使っているところが多いが、今日入ったお店はスプーンで砂糖を取り、ミルク入れからカップにミルクを注ぐようになっていた。儀式の食事にふさわしい気がした。現代はあらゆる場面で合理化された社会であるが、喫茶店のお砂糖とミルクの供え方ひとつにもそれなりの付加価値を感じる場合もある。そんなことを思いながらお店を出てゆっくりと搭乗口の方へ向かった。日本よ、しばし、さようなら。