作曲家 今川節

水 旧暦 3月29日 先勝 壬戌 二黒土星 Charlotta Lotta V19 22373日目

今川節(いまがわ・せつ)は25歳という若さでこの世を去った昭和初期の作曲家である。今日はその命日。代表作に「ペチカ」がある。山田耕筰作曲によるものの方が世にははるかに有名であるが、今川節も温かみのあるペチカをのこしている。日本の賛美歌集の中にも今川節作曲のものがあることを割と最近知った。この人が出た小学校と同じ小学校に後年僕は通ったことになるが、今川節はその昔、僕の家のすぐ隣に住んでいたそうである。祖母から聞いた話であるが、今川さんは新しい作品を書き上げるごとに持って来て見て欲しいというので、祖母はそのひとつひとつに表紙をつけ、リボンで綴じて大事にしまっておいたそうである。ところが昭和23年の福井地震でそれを喪失してしまった(ちなみにこの時僕はまだうまれていない)。どこへ行ったのだろう、あの地震でなくした最大のものは今川さんの楽譜であると祖母はよくため息をついていた。今川さんは曲ができると、それを何部か謄写版で刷ったのだろう。そしてその1部がどうやら昔は我が家にもあったらしい。小さい頃、そんな話を聞いて育ったものだから、僕はかねてからこの人に身近な尊敬を寄せていた。同居人もよくCDでこの人の曲を聞く。演奏しているのはやはり同郷のピアニスト川村文雄氏である。郷里では今でも時々、若い人たちによって、今川節をしのぶコンサートが開かれることがあるという。その文化の絆をいつまでも保って欲しいと思う。