今川節からの手紙(18)

木 旧暦 9月20日 仏滅 乙亥 四緑木星 Sibylla V42 24715 日目

今から89年前に、今川節作曲楽譜第19号が発行された。曲名は、本間 一咲作詞「逝く秋」。以下はその手紙の部分の転載である。

「作曲楽譜」第拾九号を作って  今川節

「もうすぐ秋も逝く」ーーで、今月は「逝く秋」をかく事にした。同声三部合唱だが、「第一」声のメロディーだけで斉唱にする事も出来る。

この曲は大分宮原禎次先生になほされたものだ。人になほしてもらって、それをだまってじぶんがかいたやうな顔をしてだすといふ様な事ハ私は大きらひだから一言ことわっておく。

来月はクリスマスの曲一つと、童謡一つを書く事にした。しかし之も豫告する程のものでない。

十二月は例によって休刊、一月から編輯のやり方を少しかへて、時々 楽友の曲を載せたいと思ってゐる。

ずい分すゞしくなった。涼しいといふより寒いといひたい位だ。今月に入ってから昨日迄大てい毎日雨ふりだったが、今日はやっとはれて、気持ちよい秋の空をみる事が出来た。

ーー お互に眠ってゐる時でハない、一生懸命勉強しませう。(十五日夜 記)

昭和二年拾月十七日印刷發行 發行者 今川 節