今川節からの手紙(9)

月 旧暦 9月14日 仏滅 乙亥 四緑木星 Amanda Rasmus V44 24355日目

今川節作曲楽譜第8号は保存されてなかったので、今川節からの手紙の先月分は掲載することができなかった。僕は郷土の作曲家今川節が自筆の謄写版で発表した曲に併記された手紙の部分だけを、発表された同じ日に無断転載してゐる(どうぞ著作権法違反でありませんように)が、今月は約1週間掲載が遅れた。89年前(大正15年10月20日)、今川節作曲楽譜第9号が発行された。曲名は「春の朝」(佐藤寛作詞)で下記の様な手紙が添へられてゐる。

今月の曲譜について 今川 節

大分時節遅れですが(又時節早しかもしれませんが)都合によって今月は「春の朝」を書くことにしました。

リーマンの音楽美学の中に「明けかゝる感じはクレッセンドか不意のフォルテによってゑがゝれる」と言ってあるそうですが、私もその言葉によってこの曲のイントゥロダクションを書きました。(短いものですが)

「みはてぬ夢」から後の伴奏は幾度かきかへてもいゝ感じが出ないので、仕方なくこんな形にしておきました。(伴奏をかく事の六つかしさを今更感ぜさせられます。)

来月はクリスマスの曲をかくつもりで居ます。

近頃は御批評下さる方が大変少くなりました。どうかどしどしおよせ下さいます様幾重にもお願ひいたします。

(大正十五年十月十七日印刷納本 大正十五年十月二十日發行)