手伝い

木 旧暦 3月30日 友引 癸亥 三碧木星 Kristi himmelsfärds dag Linnea Linn V19 22374日目

小学校のまだ低学年だった頃、図画の時間に絵を描いた。タイトルは「手伝い」である。「お家で自分がお手伝いしているところを絵に書きなさい」と先生に言われて、みなそれぞれに絵を書き始めた。僕はポンプで水をくみ上げている絵を描いた。ポンプのハンドルを上下に振って水を出すのは大好きであったし、その水が大きな甕に入って、その中で砂やら棕櫚やらの層をなしたフィルターを通って、しばらくしてから下の小さな穴からちょろちょろと水が出てくるのをすくうのは楽しかった。先生は良くかけたねと褒めてから、他の友達の絵と一緒に教室の壁に張ってくれた。間もなく授業参観の日があって、父も母も仕事で来られないものだから、祖母が参観に来た。そして僕の絵が貼られているのも見て帰った。家に帰ってから、祖母の様子がいつもと少し違っていることに気づいた。祖母は恥ずかしかったらしいのである。当時は戦争や地震の被害からようやく復興し、町には水道も完備した後であったから、もうポンプを使うお家などどこにもなかったのである。それで、子供の絵が我が家のそのような状況を説明してしまっていることにばつの悪い思いをしたらしい。僕には思いも寄らないことであったが、何も考えずに素直に何でも表現すれば、誰かが傷つくこともあるということを、この時初めて知った。そんなこと少しも恥ずかしいことじゃないよ、と言うのは簡単である。僕には懐かしい子供時代の思い出である。