ひとり269Wの暮らし

金 旧暦 4月1日 仏滅 甲子 四緑木星 新月 Halvard Halvar V19 22375日目

あの頃の暮らしは質素であった。高度経済成長が始まる前であったから日本中が質素であったと思うが、我が家は特に質素であった。一家5人の暮らしに配電会社と契約していた安全ヒューズの大きさがわずか5Aであった時代がある。家には電化製品も無かったからそれで事足りていた。一人あたりにすると平均して1A以上の電流を消費することはなかったのである。1Aといえば100Wである。これは契約の上限であるから、実際に使う電力は50Wもなかっただろうと思う。消費電流は負荷を入切するごとに増減するものであるが、もしそれらの山や谷をならしてしまって、ある一定の負荷を連続してつなぎ続けた場合に何アンペアに相当するだろうかということを僕は書いている。それが仮に50Wであれば、昼も夜も50Wの電球をひとつ点し続けて、他には一切電気を使わない程の消費量である。今の暮らしはどうだろうかと思って、過去1年の電気料の領収書を調べてみた。夏と冬とで消費量が違うから1年の平均を取るのが良い。1年の消費電力量は 4,718kWh であった。地域暖房といってお湯が別に建物に配給されてくるので、この消費電力に暖房や給湯に使われる分は含まれていない。365日で割って24時間で割ってさらに二人暮しであるから2で割ると、一人当たり269Wになった。あの頃の5倍以上を毎日連続して使っている。昼も夜も休みなく僕一人で、50Wの電球を五つ以上も点し続けているのだ。これが、環境を考えねばならぬと普段思っている人間の現実の姿である。現代は電気なしでは生きていくことができない。それなりの暮らしの維持にむやみな節約もできないが、自分がどれくらい電気を使っているか、振り返ってみるのも決して悪いことではない。もし、太陽光発電でこれを全てまかなうとすると、二人所帯で2倍、夜は発電しないからその分をさらに2倍と見積もると、1KWの出力が要る。ピーク時はその3倍くらい必要だろうから、かんかん照りの日で3KWの出力が出せるソーラーパネルがあればトータルで自給自足できるだろうか。