わが道を行く

水 旧暦 8月12日 先勝 戊寅 七赤金星 Helge V40 22149日目

オギャーッと呱々の声をあげてこの世の光の中に生れ落ちた時、何かひとつ約束させられた気がする。無論新生児にそのような記憶の能力が備わっていようはずは無いから、それは成長の過程で身についたものに違いないが、自分にとってはこの約束は己の存在にかかわる根源的な問いかけとなって、随分小さいころから誕生の記憶とひとつのものになっている。その時こんな声を聞いたような気がする。「お前は本当は生まれるはずではなかった。しかし、特別の思し召しがあって、まさにこの世に入ろうとしている。かくなる上は、お前はここで約束をせねばならぬ。お前の条件が如何に他人に劣っていようが決してそれを不平に思ってはいけない。人を羨んではいけない。どうだ。約束できるか。約束できるならここを通してやろう。」と言われ、「はい」と答えたような気がするのである。普段はそんなこと忘れているし、立派な約束をした割には随分間違いだらけの人生を送っているのであるが、折に触れてあの光景を思い出す。人には与えられていることが自分には与えられない。それでもそのことと引き換えに自分の存在があると思えば不足は無い。人と同じことを自分もしようとしてはいけない。自分に納得できる自分だけの道を探すことが大事だ、とそんな風に思うことがある。