もうひとつの交通事故

金 旧暦 閏5月25日 大安 癸亥 九紫火星 Bruno V29 22074日目

1台の車がよろよろと発進して交差点に現れた。そこへ別の方向からバイクが速いスピードで突っ込んで来て車の屋根に乗り上げるように衝突した。その衝撃で壊れた車体の一部が5メートルほど離れて歩道にいた人の下腿を直撃した。バイクの少年は比較的軽い怪我ですんだが、歩道の人は深手を負った。道に倒れた時、首の後と顔に生暖かい液の流れを感じて出血を知る。全身の痛みの中にも意識はあって、ただ青空の異様な美しさを感じたという。仕事中の出来事で、ちょうど通りの向側にいた同僚に合図を送った直後のこと。その同僚の助けもあって、すぐに救急車で病院に運ばれた。この小さな事件は翌日の地方新聞の記事にもなった。事件に巻き込まれたのはわが同居人であり、ことの起きたのは僕が日本に出発した日の夕方であった。この日、朝の勤務であったのだが、僕を送るためにわざわざ夕方の勤務に替えてもらってあったのだ。日本にいる間、のんきな僕はずっとそのことを知らずにいた。6月下旬に、日本に着いてからというもの、僕は原因不明のひどい倦怠感に襲われて、熱も出て喉も痛く、病院へ行って新型インフルエンザに感染していないことだけ検査してもらって安心はしたものの、仕事を休んでアパートの寝台に臥すだけの日が何日かあった。この間とてもブログを書く気力など無くて休んだが、ちょうど同じ頃、同居人はスウェーデンでもっとひどい苦しみを苦しんでいたことになる。入院病室も満足になく、病院に滞在が許されたのは1昼夜のみであったとのこと。それからは知らせを聞いた娘や友達や近所の人の援けで暮らしをつないた。このことがあってからほぼ一月がたち、怪我もようやく回復した同居人は今日、日本から戻って町のバス停に降り立った僕を迎えに来た。命が無事であったことを喜びあう再会であった。