大根の味

木 旧暦 4月 20日 大安 己未 八白土星 Halvard Halvar V20 22010日目

今住んでいるアパートは同居人も僕も気に入っている。通勤に自転車で20分というのは適当な距離ではないかと思う。気に入っている理由は他にもいくつかあるが、そのうちのひとつに、歩いて5分とかからないところにスーパーマーケットがあることがあげられる。コンビニも無い田舎の町で、スーパーにこれほど近いところに住む事の出来ることはラッキーなことである。それでこの20年以上引越していない。このスーパーがよそに引越さないでいてくれよと思っている。このスーパーへ食品を買出しに行くのはもっぱら同居人の役目である。同居人はスーパーのスタッフとも顔見知りである。いつからか、大根を仕入れて欲しいと頼んでからは、よくこのお店に大根が並ぶようになった。大根を買うのは我が家だけである。このお店では同居人と僕のたった二人だけのために律儀に毎週大根を仕入れてくれている。入荷したばかりの大根があまりに多いので、同居人は仕入れ係の人に「こんなにたくさん仕入れることはないですよ。どうせ買うのは家だけなんだから」と言うと、すかさず、これが注文できる最小単位なのだと返事が返ってきたと言う。それで我が家では毎日膾を食べている。スウェーデンの人たちはなぜ、この大根のおいしさに気づかないのであろう。それを広め、世の人たちに新しい食生活の福音を述べ伝えることはこの地に移り住んだ僕の使命であるかもしれない。隠居生活の課題がまたひとつ増えた気がする。