夜の地下鉄

金 旧暦12月18日 大安 甲子 七赤金星 Paul, Pål V04 21535日目

いつも持ち歩いている読みかけの文庫本をどこかで落とした。肩にかけるバッグの覆いの隙間から滑り落ちたらしい。本が落ちればすぐに気づきそうなものであるが、何とも恥ずかしい。黄色いマーカーの線もたくさん引いてあったので、残念である。自分の不注意にしばらく意気が沈んだ。たまたま地下鉄のホームでポケットから何かを取り出した人がいて、切符も一緒に床に滑り落ちたのに気づかない。近づいて「切符落としましたよ」と教えてあげた。僕が本を落とした時もこのように誰かが教えてくれたら良かったのに、とその時思った。

今回の東京滞在の最終日の今日、人と飲みに行った。夜遅くなったが、地下鉄のまだ動いているうちに帰ろうと思って、深夜、ムンムン熱気のお店を出た。地下鉄の終電車に間に合ったが、信じられないほどの混雑で驚いた。朝のラッシュ以上に混んでいるのである。終電車というものは、人生に疲れた人ががらんとした車内にぽつんと座っていてこそ似つかわしいものと僕は思うのであるが、意に反してあたりはムンムン熱気である。カバンがぎゅうぎゅう押されて、中のコンピュータが壊れはしまいかと心配になるほどであった。金曜日で給料日であるから無理も無いのだろうか。ただ、注意してみると、周囲は若い人ばかりで、僕のようなおじんは一人もいなかった。