平家物語 巻第六 「横田河原合戦 5」

2025-03-11 (火)(令和7年乙巳)<旧暦 2 月 12 日>(先勝 己卯 四緑木星) Edvin Egon 第 11 週 第 277806 日

 

信濃源氏の中に井上九郎光盛といふものがゐた。そのものがある計略を練った。大急ぎで赤旗を七流れ作り、三千余騎を七手に分かち、あそこの峯、ここの洞より、赤旗どもを手に手に差し上げて攻め寄せたのである。これを見た城の四郎はうれしくなってしまった。「ああ、この国にも平家の味方をしてくれるものがこんなにあるんだ。元気が出たぞ。」と言って勇んで大声で号令を下して進軍した。その距離が十分近くなった頃合ひを見て、合図を定めて、七手がひとつになり、一度にドッと鬨の声を上げた。用意してあった白旗をザッと差し上げた。越後の勢はもうビックリして、「敵は何十万騎あるかしれん。どうしようか。」と色を失ひ、あはてふためき、あるものは川に追ひ落とされ、あるものは険しいところに落とされた。助かるものは少なく、討たれるものは多かった。城の四郎が信頼を寄せてゐた越後に名高い豪傑、山の太郎、会津の乗丹房などもみなそこで討たれて死んだ。城の四郎自身も手負ひ、からき命を生きのびて、川づたひに越後国へひき退いた。

雲の形にも季節があるのかなと思ふ