袈裟と盛遠

2023-11-21 (火)(令和5年癸卯)<旧暦 10 月 9 日>(赤口 癸未 五黄土星) Helga Olga   第 47 週 第 27314 日

 

平家物語には、文覚のまだ若かった頃の話が出てこない。名前を盛遠と言って、19歳の時に出家したとは書いてあるが、その出家の理由が何であったかは書いてない。吉川英治の新・平家物語にはその辺のことも書かれてあった様に記憶する。太平洋戦争の前あたりまでは「袈裟と盛遠」は日本ではかなり有名な話であったのではないかと思ふが、今の若い人たちの間で広く知れわたった話であるかどうかはわからない。芥川龍之介の短編「袈裟と盛遠」を最初に読んだ時にはちょっと衝撃であった。その事件の核心が盛遠の独白と、袈裟の独白との二部構成で表現されたばかりでなく、男と女のあまりにもドロドロとした心模様が僕には衝撃であった。源平盛衰記の文覚発心の條には、袈裟と盛遠との間に情交があったことが書かれてあると、芥川龍之介が書き残したものの中に見える。

北欧の暗い11月の昼下がり。