日本人の二重基準

2023-10-08 (日)(令和5年癸卯)<旧暦 8 月 24 日>(先勝 己亥 四緑木星寒露 Nils    第 40 週 第 27270 日

 

日本人は人に何かをプレゼントする時「つまらないものですが」と言ったりする。贈る方も受ける方も本当につまらないものとは思ってないのだが形の上ではその様に言ふことがある。謙譲の気持ちから自然に出る表現である。この様な習慣に慣れない人たちから見ると、言ってゐることと思ってゐることが違ふといふ点で、どこか素直でない、場合によっては陰険な感じに取られることもあるかしれない。この様な表現と意味とのズレを許す日本の習慣はどこから来たのかなと思ふのだが、日本の歴史における天皇の存在に関連するのではあるまいか。日本の歴史の中で、位のトップは常に天皇であったが、実権のトップは摂関家であったり、将軍であったり、軍部であったりした。外国では普通王様が一番えらくて、王様は何でも自分の好きにできることが多かったが、日本では、天皇は位としては一番偉い人なのに勝手に好きなことができない体制があった。平安時代院政が生まれたのもその辺の事情から来てゐると思ふ。日本人は昔から考へ方に二重の基準があることに慣れてゐるのだ。ただ、このややこしい感じがあることで、日本といふ国は一般民衆には概ね平和な時代が長く続いたのかもしれないと思ふ。二重基準は必ずしも悪いとは言へない気がする。

Stockholm の Karlberg Palace