軍事同盟

金 旧暦 1月23日 大安 戊子 四緑木星 Greger V11 24139日目

PKO協力法が改正されると言ふ。復興支援の様な国際的な平和協力活動のためと言はれると、なんだか正義感を前面に出されて、反対もできない気にもなるが、しかしこれは武器使用を前提とした治安維持活動を合法化しようとするものである。海の向かうから見る人は、日本のこの変化を、日本人が自分たちで感じてゐるほど生易しいものとはみなさないのではないか。これは軍事同盟へ向けてのひとつのステップでないかとも思はれる。歴史を振り返ると、日露戦争の時には日英同盟があり、太平洋戦争の時には日独伊三国同盟があった。日本が外国の軍隊と手を繋がうとする時は必ず戦争になってゐる。戦争をするために同盟を結んだのかもしれないが。戦争に負けた国である日本は、それだからこそ他の国とは違ひ、もう戦争は嫌だと言って、どの国とも軍事的に協力しませんと高らかに宣言すべきではないか。アメリカは今も偉大な国であると僕は思ふが、そのアメリカも世界の中で次第に力を弱めてゐる様に感じられる。その弱体化のプロセスを日本が変に補はされることの無い様にしないといけないと思ふ。また、例へばウクライナで起きてゐる紛争についても、ロシア側から見ると、北大西洋条約機構といふ軍事同盟が重石になってゐると思ふ。もし西側諸国が率先して北大西洋条約機構を解消すると発表したら、それだけでもうウクライナ紛争はかなり沈静化するのではないかと言ふ気がする。僕はスウェーデンに住んでゐる。スウェーデンEUの一員ではあるけれども、通貨はユーロを採用せずクローネを守ってゐる。北大西洋条約機構にも参加してゐない。無論軍隊はあるけれども中立を守り、先の世界大戦にも参戦することはなかった。そのことで、心理的効果かもしれないが、周囲の国々からそれなりの信頼を得てゐると思ふ。人口が千万人足らずの、東京都より小さな人口の国でもさういふことができるのである。日本も徹底した平和国家であると言ふイメージを世界の人に持ってもらった方がずっと国益になると思ふ。ところが現実にはその反対に、日本はじわりじわりと軍事同盟への道を歩んでゐるのではないか。どうかすると北大西洋条約機構に参加させられる様な印象まで受ける。地理的に見ても北大西洋など地球の裏側なのに。