データ入力の方法

2023-02-16 (木)(令和5年癸卯)<旧暦 1 月 26 日>(友引 乙巳 六白金星) Julia Julius 第 7 週 第 27036 日

 

僕はほぼ毎朝体重を測る。内臓脂肪レベル、筋肉量、推定骨量なども表示されるので、それらのデータを紙に写し取って後でコンピュータに入力する。健康への祈りをこんな形で生活に取り入れてゐるつもりである。最近の体重計はデータをスマホに自動で転送してくれるので、その様な体重計を求めれば手間が省けるかもしれない。だが、そんな風にデータ入力をどんどん機械に任せると、そのうち転送されたデータをしっかり見なくなってしまひさうな気がする。ニールス・ボーアは「観測されなければ物質は存在しない」といふ解釈をしてアインシュタインと論争をしたが、せっかく測定したデータを機械任せにして、自分の目で確かめることをしなければ、自分のデータでありながら自分を離れてしまふのではあるまいか。データを自分のものとするためには入力過程である程度自分の筋肉を使ふことが必要ではないだらうか。話が飛ぶが、僕は平家物語を時々手で写し取る作業をする。この作業をして感じることは、物語を単に目で追って読む場合とは全く違ったデータが脳に入力されることだ。コピペを駆使して文書を作成したり、最近はチャットGPTも大変な話題であるが、人間は自分の筋肉を使ったデータ入力の方法にもう少し注意を向ける必要があるのではないかと思ふ。勝海舟は貧しかった頃、オランダ語の字引を手書きで2部写し取って、1部を自分用に使ひ、1部を人に売ったといふ話も聞いたことがある。究極のコピペである。そんな古典的な勉強法が、タイパを気にしてばかりゐる若い人たちに参考になりはしまひかと思ふ。

いつもの散歩道