平家物語「法印問答 3」

2022-04-13 (水)(令和4年壬寅)<旧暦 3 月 13 日>(先負 丙申 三碧木星) Artur Douglas 第 15 週 第 26733 日

 

さらにその翌日の11月15日になると、入道相國が皇室をお恨み申し上げてゐることはもう間違ひないといふ噂が広まり、後白河院はひどく驚かれて、静憲法印を入道相國のもとに使はされた。この静憲法印といふのは、あの平治の信頼に討ち取られた故少納言入道信西の子息である。「近年、朝廷が騒がしくなり、人の心も整はない。世の中全体が落ち着かなくなって、何事につけ、院のお心はお嘆きになってゐる。あなたが健在であるから万事をあなたに頼んであるのに、天下をしずめるまでの努力をしないのはともかくとしても、騒々しい態度で、あろうことか皇室を恨んでゐると噂されるとはどういふことか。」と静憲法印に仰せ使はされた。早速、静憲法印は西八条の清盛の館に向かった。<<といふことはこの時には清盛はもう福原から都に来てゐることになる?>> 朝から晩まで控室に待たされたが、一向に音沙汰がないので、これでは居ても用はないと意を決して帰ることにした。源大夫判官末貞に、天子の思し召しのあらましだけを伝へて、「では失礼」と言って館を出た。するとその時になって、清盛は「法印を呼べ」と言って出て来られた。

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今日も家の周りを歩いただけ