平家物語「小教訓4」

2020-12-16 (水)(令和2年庚子)<旧暦 11 月 2 日> (赤口 癸巳 四緑木星) Assar   第 51 週 第 26241 日

 

父の清盛は大納言を死罪にしないと約束したけれども気の変はることがあるかもしれない。さう思った重盛は少ししてから中門に出て、侍どもに向かって言った。「たとえ清盛の命令であったとしても大納言を死罪にしてはならない。入道清盛が怒りに任せてコトを起こせば、後で必ず後悔することになる。もしそんな過ちをするものがあれば私が必ず罰する。その時になって私を恨むなよ」これを聞いた兵どもは誰も恐れおののいた。「それにしても經遠、兼康が今朝大納言に非情な仕打ちをしたことは返す返すも奇怪だ。どうせ私のところに聞き伝はってくることが分かってゐるのに、どうして遠慮をしなかったのだろう。片田舎のものどもはこんなものだ。」重盛がかう言ふと、難波も瀬尾もともに恐れ入ってタジタジとなった。重盛はこれだけのことを言ふと、自分の屋敷の小松殿へ帰って行った。

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12月になって初めて青空を見た