Go To トラベルの是非

2020-07-16 (木)(令和2年庚子)<旧暦 5 月 26 日> (赤口 庚申 四緑木星) Reinhold Reine 第 29 週 第 26088 日

 

僕はもう老人であるから、コロナで毎日家に居ることが苦痛ではない。むしろ、どこかへ行かねばならない時に腰を上げることの方が余程面倒に感じる。これは僕の性格によるのかもしれないが、でも、若い時の自分は決してさうではなかった。子供の頃は、町の道路が整備されてなくて、また公共交通機関が発達してゐなかったこともあるが、バスなどの乗り物に乗って隣町まで行くといふことはもう飛び抜けてスバラシイ贅沢なことだった。そのためによそ行きの服まで着たのである。中学校を卒業するまではほとんど自分の家の周囲から外に出たことがなかった。だから、福井市内の高校に入学できた時には、合格が嬉しかったことよりも、毎日バスで福井まで行けることの方を内心で喜んだのである。中学校にも高校にも修学旅行といふものがあったが、他府県へ出かけることが普通の家庭にとって一般でなかったあの時代であったからこそ、学校で企画された修学旅行に意味があったのかなとも思ふ。学校を出て就職してからも出張が好きであった。知らない町の現場で働いてみることはなんだか新鮮な感じがしたものだった。斯様に僕は動くことが好きな人間であったのである。それと同じで、今の若い人も皆動いてみたいと思ってゐるのではないか。家に居ろと言はれてもそんなに長くは耐へられるものではない。緊急事態宣言が解除されて以降、最近はまた感染者の数が増えてゐるが、若い人に感染者が多いのも無理からぬところがある。むやみに外出を奨励するつもりは全くないし、混み合った場所へは出かけて欲しくないが、反対にむやみに自粛を求めることも行き過ぎであると思ふ。人は動くことによって、自分の生き方や人生観に影響を受けることは十分にありうる。長期戦であるからこそ、その辺も考慮しないといけないのではないかと僕は思ふ。

 

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教会に人影はないが花は咲く