ないもの探し

金 旧暦 9月1 日 先負 庚辰 八白土星 新月 Sibylla V42 25091 日目

ついさっきまでテーブルの上に置かれてゐた筈のビニールの空袋がない。それはどっちみち捨てるだけのものであったから何も真剣に探すことはない、普通ならそれでもう終はるのだが、少し考へ始めるとそれだけでは終はらなかった。その空袋はどの様にしてテーブルから消えたのか?ゴミ箱を見ても捨ててない。僕が自分で持ち去った様な気もするし、しなかった様な気もする。持ち去ったとしたならそれはその後どこへ置いたのか?自分の机の周りを探しても出てこない。同居人に聞くと、「さう言へば確かにあったのを私も見たわ」と答へた。どうでも良い空袋だから良い様なものの、もしこれが大事なものであったらどうするのだ?だんだん不安になってくる。人は無意識のうちにどの様に行動するのかを、消えた空袋を手がかりにして辿ってみることも、やがて本当に大事なものが消えた時に、それを探しだす時のヒントになりはしまいか。そんなことを考へて、今日は少し時間の無駄遣ひをした。ひとつの方法は掃除をしてみることである。思考を一度リセットして掃除を始めたら、急に思ひ浮かぶことがあって、調理台の引き出しを調べたら出て来た。まるで大事なものを探し当てた時の様な満足感があった。時々、無意識に何かをやってしまふことがある。