福井県池田町の事件

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福井県池田町、と言へば野山に囲まれた美しい町といふ印象があるのだが、そこでその印象とはかけ離れた事件があった。昨日の新聞記事によると、3月に中学2年生の男子生徒が自殺し、その原因は教師による厳しい叱責であったと、町の調査委員会が指摘した。なんとも辛いニュースで、誰かなんとかできなかったものかと思ふ。ひとりの自殺者を出した陰には、実行しないまでも自殺まで思ひつめられた子が県内に十人くらいは居るのではないかとも危惧する。そしてその周りにはいじめのせいで学校に行きたくないと思ふ生徒がたくさん居るのではないかと思ふ。教師の側にも事情はあるのかしれないが、教師は「自分は教へる立場であり、この生徒達より偉いのだ」と思って指導すると間違へると思ふ。「後生畏る可し」といふ言葉もあるが、自分より後に生まれて来るものたちへの可能性を信じる気持ちがあれば、むやみに威張ったりなどできない筈である。その上で叱られることも当然あるだらうが、子供たちはその叱りを受ける背後にあるものを敏感に感じ取るものだ。威張る教師のもとで育った生徒たちは大きくなると、「自分が受けたことを思へば、俺もこれくらい威張っても当然だ」といふ価値観を持つ様になる。やがてそれは職場でパワハラを生む原因ともなる。それは社会の大きな損失ではないか。教師の仕事は特に現代では過酷になってゐるのかもしれないが、「魂を育む」といふ教育の大本にある精神を忘れないでほしいと思ふ。