消えた消しゴム

2020-12-25 (金)(令和2年庚子)<旧暦 11 月 11 日> (先負 壬寅 四緑木星) Juldagen   第 52 週 第 26250 日

 

毎日コンピュータの前に座ってばかりの生活をしてゐるが、アナログな勉強法も取り入れてゐる。例へば少しづつ平家物語を紙に鉛筆で写し取るのも全くアナログな勉強法である。それは勉強とは言はないのかもしれないけれども。ともかくそれをずっと続けてやってみると、デジタルな方法では会得できない何かが得られることを実感する。手で紙に書くこととキーボードで入力することとは全くもって違ってゐるのだ。特に漢字や日本語においてそれが著しい。タブレットだけで勉強する現代の子供達に教へてあげたい。おっと書きたいのはそんなことではなかった。僕はよく写し間違へるので消しゴムは大事な文房具である。いつも机の上か引き出しに置く。それが昨日、忽然と消えた。どこを探してもないのである。自分の机から持ち出すことはあり得ないので、机の後ろやゴミ箱など、あらゆるところを30分以上探したが見つからなかった。別に貴重品ではないけれども、日本の消しゴムはスウェーデンの消しゴムより良質なので愛用してゐた。それがなくなるのは惜しい。それよりも、消えるとすれば、それは一体どのようにして消えたのであろうか。神隠しか?遠野物語の読みすぎかもしれない。ともかくそれ以上の時間を費やすのは無駄だと思ったからまもなく捜査を打ち切ったけれどもモヤモヤとした思ひは残った。そして今日になって台所のシンク周りや電子レンジのうちそとを掃除してゐたら、その電子レンジの前にこの消しゴムがあったのだ。「君、ここに居たの」といふ訳で嬉しかったが、何故、消しゴムだけが僕の机から台所にやって来たのか、それはどの様に運ばれたのか、台所で何を消そうとしたのか、疑問は次々に浮かんだ。同居人を疑ってはいけない。聞いてもいけない。「私知らないわよ」といふ答へに決まってゐるからだ。もしかしたら空になったコーヒーカップを台所に返す時に無意識に一緒に持ち出したのかもしれない。

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ほんの少しの小雪が舞って、まだとけぬ昨日の霜の上に落ちた