夕方のハプニング

水 旧暦 7月9日 先負 己丑 五黄土星 Albert Albertina V35 25040 日目

夕方用事があって同居人と町へ行った。駐車場に車を止めた後、少し町を歩いた時のこと、僕はかなりのスピードでやって来た自転車に跳ね飛ばされて路面に倒されてしまった。後頭部を固い路面にぶつけたので直後しばらく動かずに路上に座り込んだ。見るとぶつかって来た自転車と男も倒れてゐた。男はスウェーデン人で僕と同じくらいの歳格好に見えたが、免許証を見せてもらったら 1963 年生まれであった。電話番号も聞いておいた。しばらくして大事なささうであったから男は去った。僕は大丈夫とは思ったが、念のためなほしばらくその場を動かなかった。周りには何人かの野次馬が集まったがどの顔もよその国から移民して来た人たちばかりであった。そのうちの2、3人は親切で、どこからかコップに水を入れて「飲め」と言って寄って来た。氷も持って来て頭を冷やしてくれた。「救急車を呼ばなくても良いか」とも聞いてくれた。「家まで送ってやる」とも言った。一番親切にしてくれた男は「中国から来たのか」と聞くので「日本だ」と答へたらすごく嬉しさうな表情を示した。聞けばその人はイラクから来てゐた。工事現場の近くで、割と狭い通りにはたくさんの自動車が所狭しと縦列に駐車してゐて、見通しは悪かった。僕はさらに細い通りからT字路状にその道に出て立ち止まったところであった。近づいて来た自転車に僕は全く気がつかなかった。多分、止まってゐた自動車の陰から細い道に入らうとハンドルを切ったところに僕が立ってゐたのではないかと思ふ。それにしてはものすごいスピードであった。僕の方では全く自転車の影を見ないうちにいきなりぶつけられたものだから、その瞬間は天から何か降って来たのかと思った。無防備のままぶつけられて仰向けにひっくり返ったのだが、幸運であったのは先に尻餅をついてから頭を打ったことだ。一息遅れて頭を打った瞬間を覚えてゐる。これで衝撃は随分和らいだ筈である。イラク人は後で、「あいつはかなり酒気を帯びてゐたよ」と教へてくれた。このことがあって、同居人は僕を大変にいたはってくれて、その後、同居人の運転で家に帰ってからは何もせずに休むことにした。それにしても、あの程度の衝突でも、自転車は凶器にもなりうる。ほんの一瞬の出来事であったが、うつところが悪ければ、長く病むこともある。不幸中の幸ひではあった。