今川節からの手紙(22)

木 旧暦 閏5月27日 先勝 戊申 一白水星 Margareta Greta V29 24999 日目

今から89年前に、今川節作曲楽譜第26号が発行された。2曲掲載されて、その1曲は、武田幸一作詩、「水田(みずた)」、もう1曲は 「ほったる来い」である。以下にその巻末の手紙の部分を転載する。

作曲楽譜第二十六号に 節生

先月は休刊したかはりに今月は新作を二曲書く事にしました。

○水田 ー 私はこの様に景色を歌った詩の作曲ハ最も好むところです。伴奏も出来るだけ詩の歌って居る景色をゑがかうとつとめました。ですから演奏の時はそのつもりでひいて下さい。

○ほったる来い ー 蛍時になると當地の子供は一様にこの歌を歌って蛍狩りに出かけます。私もかつては、幼い時、よく近くの野原の川辺にこの歌を歌って蛍を追ったものです。昔は之のはじめに「ほうし ほうし ほったる来い 来い 来い 来い、山の山のどんぐりは、ひとかはむいては がりがり、二かはむいては がりがり、みかは目に ほうし ほうし ほったる来い 来い 来い 来い あっちの・・・・・・」として歌ったそうですが、今はその後だけしか歌はないやうです。今度それを曲にし、伴奏をつけて見ました。

今度宮原禎次先生が毎月二曲新作を發刊される事になりました。六月には「ちんちん千鳥」と「川端あやめ」ー二部合唱ーの二曲が出ましたが、何れも気品ある美しいものです。皆さんの学校に家庭にお用ひになる事をおすゝめします。曲譜は甲乙に二つにわかれて居り、甲は「独唱曲」で三十二銭(郵税共)、乙は「合唱曲又は童謡曲」で二十二銭です。團体申込には特別の割引があります。發行所は左の通りです。

東京市外池袋九六八 東京作曲家協会出版部(振東京七八八〇五)