森先生とお会ひする

月 旧暦 閏5月10日 友引 辛卯 九紫火星 Aurora V27 24982 日目

今日は森先生とお会ひした。お元気でゐらっしゃった。森先生はお生まれが天皇陛下と同じ年、お誕生日は皇后陛下と同じ日であられるので、それだけでもう、何となく尊い感じがあるのだが、その上に、敦賀高校校長、藤島高校校長、県の教育庁の要職などを歴任するといふ輝かしい経歴をお持ちであるので、普通の神経の人はちょっと会って馬鹿話をすることなどできない。だが僕は、本来は繊細であるくせに、その点平気なので、今日は先生に会ひにバスで福井へ行った。先生とお会ひすることは何でもないのだが、僕は耳が遠い。だが、森先生は僕以上にさらに耳が遠いのだ。耳の遠いもの同士でどうしようかと内心心配であった。僕は話す時はなるべく大声を出した。だが、優しい先生は僕から何かを聞きださうとする風はなく、むしろ自分の方から面白い話を次々にお話しなさるのであった。それも大きな声でお話くださるので、僕にも聞き取りやすかった。川柳も交へて、それはもう話芸の域に達せられた感じがあった。ただ、僕にもよく聞こえるといふ事は、一般の人には随分うるさい大声に聞こえてしまふのではないかと案じて、周りの席を時々見渡したが、鋭い視線をこちらのテーブルに投げかける様な客は居なかった。皆、何事もない様に箸を動かしてゐる。それどころか、その人たちの表情は、面白い名人の話をタダで聞きながら食事ができる幸せを喜んでゐる風にも見えるのだった。かうして今日の楽しいランチは終はった。森先生、ありがたうございました。