日本人のアイデンティティ

日 旧暦 4月12日 先負 甲午 七赤金星 Carina Carita V18 24925 日目

外国に住むと、日本人とはなんだらう、日本的なものとはなんだらうといふことを時々思ふ。この頃は、忍耐することに日本人はどの様に向き合ってゐるかといふ観点から、日本人のアイデンティティを考へられないかなと思ふ。「若い時の苦労は買ってでもせよ」といふ言葉は日本的な気がする。「おしん」といふドラマも日本的な気がする。日本人の価値観には、辛いことを我慢することは当たり前で、それを自分が引き受けることに美徳を感じさせる一面がある。日本人の働きすぎや残業過多も忍耐への感じ方がその元にあると思ふ。文明が発達してから、人はあまり忍耐しなくてもすむ様になった。これからはさらに発達して、嫌な仕事は全部ロボットが引き受けてくれる時代が来るかもしれない。さうなれば、忍耐することに果たしてどれだけの価値があるかなといふ考へ方もありえよう。でも、これからの時代にも、やはり忍耐は必要になると思ふ。むしろこれからの時代の方が、本当の意味で忍耐が必要になるのかもしれない。昔の日本人はひとつ屋根の下に大家族を営んだが、居心地よさを求めて核家族化した。核家族の中にはさらなる居心地よさを求めて離婚する人も増えたし、そもそも結婚しない人も増えた。この頃の日本人は簡単にキレル人も多いらしい。だから一概には言へないが、良きにつけ悪しきにつけ、日本人の血液の底流には忍耐することへの美意識が、今尚、脈打ってゐる様な気がする。