高福祉社会

火 旧暦 11月22日 友引 丙子 四緑木星 Israel Moses V51 24775 日目

僕は長いことスウェーデンに住んでゐるけれども、高福祉社会の恩恵を具体的にどんな形で受けてゐるかについて、自分でどう説明すれば良いのか分からない。一般に働く人の権利は日本より強いので、多分過労死する人はこちらでは皆無であると思ふ。日本では「残業をなくしませう」と掛け声がかかっても、「残業は美徳だ」と内心で思ってる人も多数居るのではないかと思ふ。スウェーデンにはそんな人は皆無である。病気で仕事を休みたい時は職場に電話連絡せねばならぬが、翌日もまだ辛い場合にはまた休むと再電話をする必要はない。昨日から病気だと既に分かってゐるからである。だからスウェーデン社会は働きやすいといへば働きやすい。でもこれらの価値観の違ひは何も高福祉社会であるかどうかとは関係ないと思ふ。娘が出産を体験して、色々なことを娘から聞くと、初めてこの国の高福祉社会の一面を垣間見る気がする。出産にも教育にもお金がかかるのはどの国でも同じだが、その費用をどこまで社会が援助してくれるかは大きく違ふと思ふ。日本では託児所が足りないことが大きな課題になってゐる様であるが、それだけの問題ではない気がする。日本も世界の中では十分、高福祉社会だと思ふが、どちらかと云へば、高齢者の介護などに重点が置かれて、出産や教育には手厚い支援の手がのびてないのではないかといふ印象を受ける。若い力を支援する社会の未来は明るい。日本の場合、高所得の家庭の子女だけが高い教育を受ける傾向がある様である。貧富の差が将来さらに広がらないか心配である。