夕陽の思ひ出

水 旧暦 7月29日 大安 乙酉 九紫火星 二百十日 Arvid Vidar V35 24665 日目

自分の誕生日とか、親の命日とか、失恋記念日とか、自分にとって大事な思ひ出の日は誰にもあると思ふ。毎年、その日が巡って来ると、昔を思ひ出したりする。今日は僕にとっては日本の会社を辞めた退職記念日である。約14年間勤めた会社を退職したのは1987年8月31日のことであった。その会社に入社した時は、まさか自分が中途で会社を辞めて他へ転職するだろうなどとは夢にも思はなかった。しかしこの時、心の中にどうしても辞めないわけにはいかない拘りがあった。前途はどうなるか全く分からなかったし、心中不安であった。会社を辞める何日か前に、しばらく日本には帰って来れないかもしれないと思って、夜中に家族を乗せてドライブに出て、犬吠埼まで日本の日の出を見に行った思ひ出もある。会社を辞めて最後の門をくぐり出た8月31日の夕方、新青梅街道の歩道橋の上に立った時、美しい夕映えを見た。それは本当にこれまでに見たこともなかったほど、素晴らしい感動的な夕映えであった。僕は呆然となってしばらく立ちすくんだ。そして、その時、何か大きく励まされるのを感じた。それは僕にとって忘れられない夕陽の思ひ出である。ほとんど着のみ着のままで、単身日本を離れたのはそれから3日後のことであった。