金環日食2016

木 旧暦 8月1日 友引 丙戌 八白土星 新月 Samuel Sam V35 24666 日目

今日は朔。それも金環日食が見られる日であった。と言っても、見られる地域はアフリカのマダガスカル島東のレユニオンといふ小さな島。日本のインターネットテレビで、この金環日食の実況中継があったので、それはヨーロッパ時間では正午過ぎであったのだが、しばらく見ることにした。地球から見て、月が太陽の前面を通過する。それだけのことと言へばそれだけのことであるが、じっと見てゐると神秘的な感じがした。音もなく移動する天体の動きを見て、時間とは一体何であるのかなと、改めて思った。今日は防災の日でもある。この地球といふ小さな星は、今やヒトの数だけで73億もの生命を乗せて、宇宙空間を静かに走って行く。文明が発達して、書類も財産も画像も映画も音楽もニュースも本も、大事な情報はことごとく雲の彼方に預けられてしまった。手元には何の実体も残らないまま、ヒトは更に便利な暮らしを追ひ求めてゐる。ある日突然、地球に異変が起きて地球的な規模でインターネットなどの通信が長期に使へなくなったらどんなパニックに陥るだろう。未開の文明の人たちほど影響は小さいだろうと思ふ。東日本大震災以来、防災の強化の必要が叫ばれて来たが、実態は脆弱化が更に大きく進んでゐると思ふ。ある日突然、その瞬間に自分の置かれた場所から、自分の足で歩いて動くことのできる範囲だけで、衣食住の生活ができなければならない。お店もない、銀行もない、避難所へ行っても援助は来ない。板子一枚下は地獄。なんと恐ろしい世界に僕らは生きてゐるのだろう。そんなことを思ふと、画面の黒いお月様は、静かにお日様の前を離れて行った。