オーディオ装置の寿命

土 旧暦 4月27日 赤口 庚申 六白金星 Aina Aino V24 24232日目

オーディオセットはどれ位長持ちするものであらうか。物置を整理したら奥の方から古いモニターテレビ、日本のテレビチューナー、ビデオデッキが出てきた。β方式のSONYのJ9といふ機種だがそれを知る人も今は少ないと思ふ。時代もので重量もえらく重かった。日本のNTSC方式など持って来てもこちらで間に合はないことは最初から分かってゐたが、逆にNTSCで録画されたビデオを見ることのできる機械として存在価値があるかもしれないと思って持って来たのである。最初はそんなに長くスウェーデンに住むつもりでもなかったから、帰る時また持ち帰って使へるかと思ったまま、やがてお蔵入りになった。そんな古い機器が出て来たのでリサイクルゴミとして処理場に持って行った。テレビは今ではディジタル化してゐるし、ブラウン管モニターは電気を食ふし、壊れてなくても今更使へないものばかりである。購入する時には長く使ふことができる様にとなるべく仕様の高いものを選んで買ったのに、結果から言ふと、簡易仕様の安い製品を数年で使ひ潰した方が経済的であったと後になって思ふ。技術の進歩がそれだけ早いといふことで、当時はそのことを見抜けなかったのだから仕方が無い。でも、当時買った製品で今でも働いてくれる機器もある。アキュフェーズのアンプと、トリオのAM・FMチューナーと、DENONターンテーブルである。昔の製品は外観が大きく、場所を取るので狭いアパートに置くには適さないが、過年、日本の田舎の家に送ってセットしてみたら意外とその部屋にはマッチして、悪くなかったのである。振り返れば生き残ったオーディオ製品は、まだディジタル化が始まる前の、シンプルな機能を有しただけの機器ばかりであり、それが何かを象徴してゐる様にも思はれる。僕には独身時代から持ってゐたそれらの機器が、今でも使へることが嬉しいのである。