今川節からの手紙(1)

水 旧暦 2月20日 先負 甲寅 三碧木星 Nadja Tanja Romernas nationaldag V15 24165日目

古い納戸を整理してゐると、郷土の作曲家今川節の作曲楽譜が何部か出て来た。大正末期から昭和にかけての数年間、毎月1回、新作を謄写版で刷って、発表してゐたものである。山田耕筰をはじめ中央の先生などに郵送してゐたのだらうと想像されるが、小さい頃に聞いた僕の祖母の話によると、今川節は隣に住んでゐて、毎月出来上がった楽譜の一部を祖母に渡し、感想を聞かせて欲しいと頼まれたのであると言ふ。祖母は感想を述べることはできなかったが、大事にそれらを保管して置いたのだと言った。しかし、多分福井地震で紛失したと思はれてゐたが、納戸を整理してゐるうちに、これのことではないかと思ひ当たる資料が見つかったのである。町には中野重治記念図書館があって、その建物の中に「今川節の部屋」があるので、今日そこへ資料を持って行き、これからはそこで保管してもらふことにした。資料には楽譜と一緒に編集後記の様な筆者からのメッセージが添へられてゐて、これを読むのがまた楽しく、さらに、芸術を志す青年の生き方に、惻々として胸を打たれるところもある。それで、僕がこれから何度かに分けて、活字になることのなかった今川節の手紙を僕のブログ上で紹介してみようかと思ふ。今日の写真は今川節の胸像。