今川節からの手紙(20)

土 旧暦 4月25日 仏滅 丁未 二黒土星 Karolina Carola V20 24938 日目

今から89年前に、今川節作曲楽譜第25号が発行された。23 号と 24 号はそれぞれ、3 月、4 月に発行されたと推定されるが、そのコピーが残ってないので紹介することができなかった。第25号は「おたまじゃくし」(北原白秋 作詞)を載せてゐる。北原白秋は 1942 年没。既に著作権の保護期間を過ぎてゐるので、その詩の部分を転載しても問題ないかと思ひ、以下に転載します。

おたまじゃくしを食べに来る

鷲は浅間の巣立鷲

おたまじゃくしの

尾が切れりゃ

ぢきに蛙に

なりましょか

沢の氷もとけました

芹もあをあを

萌えました

つくしんぼうや

つくしんぼう

丘に誰かが

呼んでます

(からたちの花)

以下はその末尾に書かれた手紙の部分の転載である。この号ではお名前がイニシャルで書かれてゐる。

「作曲楽譜」第二十五号に S・I

今月も非常な多忙のため新作を書く事が出来ず、で旧作でまにあはせました。

「おたまじゃくし」はあまり気に入らない曲です。自分の気にいらない曲を發表するのは甚だ心苦しいのですが、外の旧作はずい分訂正したいところがあるので、それをして居る暇もありませんし、で仕方なく之を書いた次第です。

来月は都合によって休刊します。しかし七月の始めには六七月合併号として楽友の曲も書き私も新作を書くつもりで居ます。

私の徴兵検査もこの十三日無事終了、第二乙でした。これからほんとうにしっかりやりますよ。

昭和三年五月二十印刷二十五日發行