秋のスウェーデンに戻って

木 旧暦 9月23日 先勝 庚申 一白水星 下弦 Finn V42 23990日目

長い空の旅を経て、またスウェーデンに戻って来た。長い旅と言っても、子供の頃は故郷から東京へ出るのに同じ位の時間がかかってゐたから、地球は狭くなったと言へる。人類がもしも、太古から自分の足で動き回ることのできる範囲でしか活動しなかったら、文明と言ふものは生まれなかったのでは無いかと思ふ。個人としては、年に何度か移動を繰り返すことが果たして良いことかどうかは分からない。が、あまり、正しいとか間違ってゐるとかにはこだはらずに居たいと思ふ。いづれ身体が衰へればそんな行き来もできまい。仕事をしてゐた時はそれなりに忙しかったが、仕事を辞めてからでも人生は結構忙しい。どちらか一箇所に安住すれば落ち着くのかもしれないが、人の衰退は安住することから始まる。人は死ねば天国へ行くか地獄へ行くか振り分けられるものらしい。どうして、その中間の状態が無いのだらう。僕は地獄に落ちたいとは決して思はないが、お花畑に囲まれた様な天国へ行きたいとも思はない。「万物は流転する」を我が信仰の原点に持つ僕は、天国の様なところに入ってしまへば、人生に緊張感が無くなって、決してその先に良い事が待ってゐるだらうとは思はれないからだ。ヘルシンキ空港で乗り継ぎの飛行機を待つのに間があって、そんなことをふと思った。スウェーデンに着くと、結構寒い季節になってゐた。