金 旧暦 8月12日 先勝 己卯 六白金星 Adela Heidi V36 23949日目
「スウェーデンと日本とに暮らしてみて、あなたにとって日本の方が良いと思はれることは何ですか」と聞かれたとしよう。いくつかあるかもしれない答へのひとつは「トイレを探すのに苦労しないこと」である。仕事をしてゐた頃は会社と自宅を自転車で行き来するだけであったから、そしてその両方にトイレがあったから、日常生活でトイレを探すことも無かった。しかし会社を辞めた今、職場のトイレは余程緊急時なら昔の顔で挨拶に寄るついでに借りられると思ふが、普段使用出来るトイレ候補から外しておかねばならない。幸ひな事に町の図書館にトイレがあり、しかも無料なのでありがたい。日本の感覚からするとトイレは普通無料であるが、こちらでは有料が多い。娘がまだ小さかった頃、土曜日ごとにストックホルムまで出かけて日本人補習校に送り迎へしたが、その待ち時間にどこでトイレを借りるかは常に課題であった。例へばストックホルム市立図書館で借りることもあったが、1回使用するごとに5クローネ必要であったと記憶してゐる。駅やデパートでも同じである。ホテルでは暗証番号を押して入るところもある。トイレを借りたいばかりに喫茶店に入る事もあった。料金きっかりの小銭をいつも持ち歩かなければならなかった。最近はSNSなどで支払ふトイレがあるさうだが、硬貨しか持ってゐないお年寄りが困ってゐる話を聞いた事もある。無料で清潔なトイレが随所にあるかどうかは犯罪の少なさや清潔度の指標でもあり、ひいてはその都市の文明度のインデックスたりうるのではないだらうか。
