消費税増税

日 旧暦 2月16日 大安 丙戌 二黒土星 Herbert Gilbert V11 23776日目

あと2週間ほどで日本では消費税が上がる。税金が上がることによって社会が良くなるのであれば、それに賛成せねばならないと思ふが、消費税が8%に上がっても何とかやりくり出来る人たちと、たちまち生活に困る人たちとあると思ふ。生活に困ると言っても、戦時中や終戦直後に人々が体験した食糧不足の時代を思へば、殆どの場合は困るうちに入らないと思ふが、昔の様に周囲の誰もが困ってゐる状況と、周囲の人たちが豊かさを享受してゐる中で自分だけが惨めな状況とは比較できないとも思ふ。この春から多くの企業で賃金が上がる話も新聞に出てゐたが、さういふ恩恵を蒙るのは一部の人たちだけであって、賃金を増やしてもらへない人たちも多いとも言はれてゐる。増えた税収の再配分をどうするかは、だから重要な課題である。食品工場で働く時に製品にこっそりと農薬を混ぜる様な人間が現れるのは、結局、現状に不満があるからだらう。日本人は一般におとなしいと言っても、もしも巷が現状不満の人間であふれかへれば、暴動が起きないとも限らない。赤字が続いて日本が貧乏になったらどうなるか分からない不安がある。貧富の差を縮めることは文明国の重要な課題であると思ふ。だがその一方で思ふこともある。もし自分が貧しくなってしまったら、その責任は自分にあると人は思はなければならない。貧困に落ちるには誰にも必ず原因があると思ふ。貧しいこと自体は少しも恥ずかしいことではないが、貧しくなった原因を自らに求めようとしないで、ひたすら生活保護を受ける方向に走るのみであれば恥ずかしい。人間はどんな生き方が美しいかについて小さい頃から学校や家庭で学ぶべきであると思ふ。科学や数学や工学や医学などの分野に傑出した人間を輩出させる高等教育を重視するよりも、底辺にゐる一般の人たちの普通の生き方に希望を与へてその意識レベルを引き上げる教育の方が日本の将来にとってはるかに大事ではないかと思ふ。