吉田元所長の死

火 旧暦 6月2日 先勝 丙子 六白金星 Jörgen Örjan V28 23526日目

東京電力福島第1原子力発電所元所長の吉田昌郎氏が亡くなった。死因は食道がんのためと書かれているが、あの事故の収集作業による過労がその死を早めたことは疑いの余地が無い。今の時代に還暦を待たずに世を去るのは何とも傷ましい。日本の原子力の将来のあり方にどのような思いを託して旅立たれたであろうか。あの事故を通じて僕達は世の中に絶対安全ということはありえないことを知った。そうして原子力の場合、一旦緩急あらばその影響力の如何に甚大であるかについても十分見てきた。そうして吉田元所長は決死の事故対応の果てにとうとう過労で亡くなった。何かが間違っていたに違いないのであるが、そしてその間違いの償いは皆が平等に負担すべきであるが、吉田氏のように大きな負担を背負う人が現れてしまうことがいたわしい。僕は日本がエネルギー供給の柱を原発に頼ってきた方針が間違っていたとは思わない。今、世界中で原発建設がさらに進もうとしているが、その流れの中で福島の事故が残す教訓は大きい。神様はそのような大事故に耐えうる国として日本を選ばれたような気もしている。日本はこれから安定したエネルギー供給をどのように実現すべきかは大きな課題である。日本全国のあらゆる工事現場には、安全第一の旗が翩翻と翻っている。もしも、本当に安全第一を考えるなら、工事などやめてしまえという考えもあろう。しかし、安全第一と称してあらゆる生産活動を取りやめたら人々の生活は成り立たなくなり、社会はスラム化してすさんでいく。安全を第一に考えつつ、健全な活動を続けていかなければ日本に将来は無い。そんな思いが去来する中で、訃報に接し、謹んで吉田氏の冥福を祈りたいと思う。