自転車で転倒した話

月 旧暦 3月27日 大安 壬申 三碧木星 Marit Rita V19 23463日目

昨日はさんざんの日曜日であった。疲れがたまっていたのだろうか、午前中は朝食後にまた寝てしまった。同居人は10時から教会に行ったのだが、鬼の居ぬ間の掃除の邪魔にならぬようにと気を利かせたつもりか、礼拝が終わった後も外で時間をつぶして帰って来たらしい。ところが僕は寝てしまって、同居人の帰って来る少し前に起きたばかりであった。同居人は午後の後半から仕事に出るから鬼の不在となる機会はまだある。それまで少しの間でも僕も仕事をしようかと思って日曜日ではあるけれども自転車に乗って会社に向かった。ワイシャツの上にセーターを着たのではやや暑いと思い、ワイシャツと薄いジャケットだけで出かけた。森を抜けるところはちょっとした坂道になっていて制動をかけずにいるとスピードがぐんぐんついて怖いくらいになる。いつもは向かい風が吹いてブレーキがかかりちょうど良い加減になるのだが、昨日は風が吹かずにスピードがうんと上がった。そこへもってきてそこからその道は工事現場になっていて、ついこないだから従来の道が閉ざされて新しい道ができていて、それがかなりカーブしている。舗装されるのは当分先で今はまだ砂地になっている。このスピードとこのカーブとこの砂地では危ないなと思った時は遅かった。やや控えめにハンドルを切った時、あっという間に砂地に巻き込まれて自転車は転倒した。頭上に青白い星たちがいくつも現れて3回転半ほどした。気がつくと、サングラスはへし曲がり、ヘルメットの一番外側の薄いプラスチックの被覆はきれいにはがれていた。それで急に仕事へ行く元気が失せて家に帰ろうと、今来た坂道を今度は自転車を引いて歩いて戻った。平坦になってからは自転車にまたがったように思う。橋をわたるところまで来た時、僕の家はこの橋の先にあるはずなのに、後を振り向くと、いや、家はこっちじゃないかという気がして、方向が分からなくなった。橋を渡りきってからも見慣れているはずの交差点であるのに初めてのような気がする。自分の家の方向が分からない。頭がボーッとしてグルグル世界が回っている。脳にとってはこの時が一番危ない時間帯であったかもしれない。その交差点から家までは何通りかの行き方があるのだが、そのどの道を通ったか、全く記憶がない。気がついた時は家の前で自転車に鍵をかけるところであった。仕事に出かける前で庭仕事をしていた同居人は驚いて仕事の手をやめた。その話によると、その時僕は顔面蒼白であったらしい。頭と左肩を強く打って、手を伸ばすことが出来ない。ラジオ体操も出来ない。掃除も無論できない。それでそれからまた横になった。気分的にもまだ落着かないので今日は仕事を休んでしまった。頭はまだちょっとおかしい気がする。でも、楽天主義者の僕は、前よりもちょっと頭が良くなったのではないかと密かにうれしい気もする。ちょうど、壊れかかったラジオを強くたたくと、急に音が出るようになることがあるように。