丸谷才一氏

木 旧暦 9月4日 赤口 壬子 九紫火星 Lukas V42 23263日目

水村美苗の「日本語が亡びるとき」という本を前から読んでみたいと思っていた。最近は文庫にもなっているようなので先日の日本滞在の最終日に本屋で探したら、文庫本は見つからなかったので、結局立派な装丁の本を買った。翌朝空港へ向かうバスの中で丸谷才一氏が亡くなったことを知った。丸谷氏が亡くなった日に「日本語が亡びるとき」という本を買ってしまった偶然に気づいて、そのことを恨めしく思った。丸谷氏は英文学者でもあるが僕にとってはもっとも信頼のおける国語の先生である。丸谷氏を悼む思いは、日本語はこれからどうなってしまうのだろうという危惧とひとつのものである。日本人の誰もが、英語ができなくてはならないという強迫観念にかられて、そちらにどんどん吸い込まれていく現代にあって、これから先、いったい誰が真剣に日本語を護ってくれるというのだろうか。丸谷氏の旅立った日に僕はそんなことを思った。