夏も近づく八十八夜

月 旧暦3月30日 友引 丁巳 六白金星 八十八夜 Filip, Filippa V18 22728日目

都をば霞とともにたちしかど秋風ぞ吹く白河の関

ちょっと季節が違うかもしれないが、有名なこの歌を今日のブログに引用したのは、あの白河の関も今回の地震で随分ひどくやられただろうなという思いがあってのこと。古来の人々はもちろん、現代にあってもなお、旅人は皆、白河の関を越える時、ある種の感慨を抱くものである。その白河の関も今はどうなったことやら。白河の関ばかりではない、勿来の関もやられているに違いない。

吹く風をなこその関と思へども道もせに散る山桜かな

みちのくの絵に描いたようなあの美しい風景は津波による破壊という脆弱性を代償として成立していたものかもしれない。

今回僕が日本にやって来たのは1月16日のことであった。着いた日の北陸地方は大雪であった。それ以来ずっと日本にいて、茨城へ移って地震を体験し、東京で義母の旅立ちを送り、花が咲き、花は散って青葉の時となり、色々なことがあった。何だか毎日毎日夢中だったように思う。下手の替歌をひとつ。

越路さし吹雪とともに入りしかど青葉繁れる桜井の宿

今日はやっと、スウェーデンに戻ることができた。同居人も空港まで出迎えてくれた。バスを待つ時間、娘ともストックホルム中央駅で会うことが出来た。ばらばら家族がひとつに集まって、つかの間の団欒。明るい空の色と新緑と湖の風景とにほっとした思い。やれやれ。