ため息つぶやきひとりごと

金 旧暦 11月19日 大安 戊申 七赤金星 Eva Julafton V51 22597日目

芥川龍之介の「杜子春」には仙術の修行をする場面が出てくる。零落した杜子春がある日洛陽の町で仙人に声をかけられて、自分も修行がしたいと願い出ると、人跡の絶えた山の絶壁に連れてこられて置き去りにされた。そこにいろいろな魔性が現れる。どんなことがあっても声を出してはいけない、ということが仙人になるための修行の第一歩であった。仙人になりたいという願望は僕の胸のうちにもあるから、この小説は僕には割りと大事な小説である。しかし、この「声を出してはいけない」という修行に僕は到底耐えられない。若い時から僕には変な癖があって、何かの拍子にひとりごとをもらしてしまうことが多い。そしてあわててあたりに人がいないことを確かめると安心したりする。これは自分の性分であるから変えられないとずっと思っていたが、もし、明日は今日より少しでも強く生きてみたいと思うなら、今からでも何とかこの癖をなくす努力をせねばなるまい。ため息の無い人生、つぶやきの無い人生、ひとりごとの無い人生、そのような人生を目指して、いわば僕なりの無言の行を課することが、多分、来年の僕の目標となると思う。