Zzz (第4夜)

土 旧暦 12月7日 赤口 丁酉 七赤金星 Hjalmar Helmer V2 24437 日目

ともかく毎日何もせずに寝た。一切の活動をやめてひたすら寝ることに専念した。最初の3日ほどは何もせずに寝れば良いことがとてもありがたく感じられたが、それはやはり苦痛でもあった。でも、暖かい布団で安心して寝ることができる幸せを切実にありがたいと思った。熱は37度台に下がって来てはゐるが、食欲はなくなり、気持ちも随分弱気になった。起きるとどんな姿勢でゐても辛いので寝てしまふ。横になると、なるべく呼吸を整へて、体の声に耳を傾けやうとした。でも集中できないのである。およそ世の修行僧たちは修行中に病気になることはないのだらうかと思った。禅の本などを読んでも厳しい修行については書いてあるが、病気になった時の心構へについてはあまり書いてないのではないかと思ふ。もしも修行が頑健な若者だけに与へられる機会であるなら、もしも楽なき生活だけが解脱への道であるなら、人は弱い時、どうすれば良いのか。そんなことを思って古いNHKラジオテキスト「こころをよむ 1986 年 4 月 - 9 月」をパラパラと開いた(般若心経 講師 金岡秀友、勝鬘経 講師 早島鏡正)。すると、あの玄奘三蔵は、行き帰りで17年もかかってインドに経を求める旅をした時、途中で何度も病気になったことが書かれてゐた。それを目にした時、僕は大きく動かされた。