テスタの思い出

月 旧暦 10月10日 先勝 己巳 一白水星 Leopold V46 22559日目

テスタが壊れた。大学1年生の時に買ったものである。僕にとっては懐かしいテスタである。高校時代、将来自分の勉強すべき学問は何であろうかと悩んだ。自分の問題なのに良く分からず、何となくエンジニアってかっこよさそうだという理由だけで理工系を目指し、さらにこれからはエレクトロニクスの時代ではないかという理由だけで電子工学科というところを目指した。国立大学1期校に失敗した夜はさすがに30分ほど寝つかれなかった。2期校に失敗した夜は1時間ほども目がさえた。もうひとつ受験しておいた私立に受かったので、少しお金が余計にかかるけどかあちゃんごめんと言ってそこへ進学させてもらった。色々あったがともかくそういう学科に進学しておきながら僕の電気回路の知識は皆無であった。電気系の勉強をするなら自分用のテスタくらい持っているべき気がして秋葉原でテスタを買った。古くなった乾電池の電圧って何ボルトあるのだろうと思って測ってみた。1.5Vまでピーンと針が触れたので驚いた。ちゃんと電圧があるのに何故ランプがつかないのだろうと疑問に思った。こういうことさえ説明できないのであるから入学試験に落ちるのは当然である。電圧計は抵抗がうんと大きいので、測定中に電圧計に流れる電流は微笑である。そのような微電流しか流さない限りは乾電池の電圧はしっかりあるようにみえる。しかし、ランプをつなぐとその抵抗は小さいので乾電池からたくさんの電流を流して貰おうとする。ところが古い乾電池はそんなに負荷をかけられるとなよなよとなってたちまち電圧が落ちてしまう。だから、そのような状態にしておいてから電圧を測らなければ、電池が古いかどうかわからない。こういうことを知ってから僕は電気や数学の勉強を始めた。もう今では内容をすっかり忘れているが、当時の僕は僕にしては良く勉強した方である。4年が経過した後に腕試しと思って国立大学1期校の大学院の入試を受けてみた。予想問題集も何も無いので受験勉強のしようも無い。ただ行って問題を解いてみるだけである。奇跡が起きて、試験にパスした時はさすがにうれしかった。僕のテスタはこのような思い出と共にある。が、壊れたので新しいテスタを買うことにした。熟練した人はアナログの針の振れ具合から回路の状態を言い当てることができるという。何となくアナログの方が良さそうなのでアナログテスタを買った。見ると、乾電池が古いかどうかがわかる測定レンジがついている。おやおやと思い、昔の思い出をブログに書くことにした。