出会い系 いまむかし

木 旧暦 4月14日 大安 丁丑 八白土星 Beda Blenda V21 22388日目

「神様がくれた漢字たち」(理論社 白川静監修 山本史也著)という本があって、ぱらぱらと眺めると、なかなか面白い。漢字の成り立ちについて書かれているが、古代人は何を考え、どう生きたかが文字を通じて解説されているところが面白い。例えば、「愛」という字も「戀」という字も、今では男女間に成立するものと考えられるが、文字を読み解く限り、古代人が思い慕い、誓う対象は神様であったという。であるから、人が人を愛するのはもうそれだけで神への冒涜であった。古代人には思いのままに人を愛することなど許されなかったのである。初恋のあの人も、その後出会った数多くの美しい女たちもみんな神様のものであるから、「お、いいな」などという感情を持つのは、はなはだしい間違いであったのである。現代でもそういう心の動きの奥にどこかやましさを感じるのは、古代人のこういう考え方の名残だろうか。一昔前は、本人の意思を無視して、親の考えで結婚させられる人もあったが、そんな出会いの方が、神様からの祝福を受けやすかったかもしれない。今では自分の考えで結婚することは本人がしっかりしていることを示すものとして高く評価されるが、自分の意志で選んだ相手と結婚した人と、周りから決めてもらった相手と結婚した人と、どちらが果たして幸せになれるかは分からないのである。時代劇などで親の考えで結婚させられ、私の自由はどこにあるのと言って悲しむ娘のシーンを見ると、「馬鹿だな、そんな方が幸せになれるんだよ」と囁いてやることにしている。