ディジタル時計

木 旧暦 8月9日 仏滅 己巳 七赤金星 Dag, Daga V37 22500日目

ともかく腕時計を身につけ始めたのは高校生からで、自動巻きではなかったが、日付が付いていて僕は気に入っていた。この時計をくれたのは後の関係で言うと同居人の父であった。月の変わりめが小の月の時は手で日付を進めてやらなければならなかったが、それはそれで面白かった。毎晩遅くなると日付の文字盤が徐々に移動し始めるのが、いかにも精密機械が回っているという感じを与えた。大学時代から社会に出て勤め始めた頃、どんな腕時計を使っていたか、残念ながら覚えていない。そのうちにクォーツが登場して、時計の産業革命が起こった。結婚した時に、同居人の母がその発売されたばかりのクオーツを記念にくれた。時計の動きの正確であることに感動して、それからしばらくは、大げさに言えば、天体の運行と自分とがひとつになったような心持がした。この時計は大事に使ったのであるが、5年ほど前にとうとう使えなくなった。それで買った時計が時々止まる時計であったのである。それで買い換えた。これまではいつもアナログ時計を使っていたのであるが、今回初めて、ディジタル腕時計にしてみた。すると、やはり、感じが違う。時間の進み方がより早く感じられるのである。朝、家を出る時刻を腕時計で確かめるにしても、家を出る時刻とは何か、決めてやらねばならない。例えば、ドアに施錠した時刻であるのか、自転車が動き始めた時刻であるのか、その間にもどうかすると2分ほどの開きがある。だが、そういうことは本来、時計がアナログであるかディジタルであるかに関係しないことである。僕はやはりこの新しい腕時計が気に入っている。この際、時計にならって、アナログ人間を脱皮してディジタル人間になれるかなと思ってみたが、それはやはり無理のようである。