男のうた、女のうた

土 旧暦 8月8日 先負 甲戌 二黒土星 上弦 彼岸明 Enar Einar V39 22145日目

うたには性がある。女心のうた、男心のうた。けれども、もっと正確に言うと、男が歌う男の歌、男が歌う女の歌、女が歌う男の歌、女が歌う女の歌という風に、四つの組み合わせがある。このうち、歌謡曲としてもっともヒットするのは男が作詞した女の歌ではないかと思う。現実をよそに置いて、女にはこうあって欲しいという単なる男の願望をうたにするのである。これを見た女はもっと醒めているのであるが、これもサービスのうちと思ってその歌を歌う。すると男は、やっぱりそうであったかと満足してヒットするのである。女が作詞した男の歌をあまり知らないが、女流作家の中には、男の心理の描写のうまい人がいるから、そういう詩もきっとあるのであろうと思う。漢字が男のものとされていた時代にかなを発明して男の心を描いたのは女であった。そのかなを、女になったつもりで書き始めた男もある。最近のうたに性が感じられるだろうか。最近の歌をあまり知らないのでなんとも言えない。「明日があるさ」は男の歌。「こんにちは赤ちゃん」は女の歌に見えて男の歌である。