ひとり寝の子守歌

金 旧暦10月2日 大安 丙辰 五黄土星 Simon Simone V43 22906日目

成田空港に着いた時は日本はまだ暑いなと思ったが、今日などは秋の冷気が心地よくて、夕方風呂に入る時は熱めの湯が恋しいくらいに感じるようになった。寒がり屋の僕は寝る時の暖かい布団が何よりありがたい。「きりぎりす鳴くや霜夜のさむしろに衣かたしきひとりかも寝む」百人一首には「ひとりかも寝む」という句の含まれるうたが二つあったと思うが、いずれも男のひとり寝のさみしさをうたっている。女だってひとりで寝るのはきっとさみしんじゃないかと思うが、そういう歌はあるのだろうか。加藤登紀子が歌っているじゃないかと言う人もあるかしれないが、あれは女が男になったつもりで詠んだ歌だからヒットしたんじゃないか。男の歌は素直で良い。いやしかし、その素直さの中に、気を引かせるような甘えが潜んでいるのかもしれないけれども。大きめのフワッとした薄い衣を敷いただけの寝具にくるまって寝る。いかにもわびしい気もするが、作者は藤原良経、堂々の貴人である。あの時代の寝具はお金持ちでもたいていそんなものであったのかもしれぬと思う。暖かい布団にくるまって寝ることのできる現代に生まれて、ありがたいことと僕は思って布団に滑り込む。