「父と暮せば」を見て

日 旧暦 6月19日 赤口 丙戌 五黄土星 Roland 9e. tref. V32 22097日目

井上ひさしの「父と暮せば」をテレビでやっていた。それを最初からおしまいまで見た。もともと芝居用に書かれたものらしく、宮沢りえ原田芳雄との殆ど二人だけで演ぜらるる映画である。広島で被爆した父と娘の物語で、娘の恋とそれを応援する父との会話が続く。父と娘とが戦後を一緒に暮らしているかのように始まる物語であるが、、、、。原爆を体験し、信頼する友も失う。生き残ってしまった自分が人並みに幸せを求めることへの罪悪感が、現実と夢との交錯する世界の中で語られて、何ともいじらしい。原爆を体験した人の話を、こういう形で聞かされると、またひとつ、心の扉を叩かれる気がする。思うに、世の中の人は二つのグループに分けられる。「原爆は、すんだことだからもういいじゃないか」と割り切る人間と、「いや、あれは割り切るわけには行かない切実な問題である」と考える人間とである。殆どの人は、表面的意見としては後者を装いながら、実は前者であることが多い。それを改めてつきつけられるのが、この映画であった。