平家物語 巻第五 「咸陽宮 5」

2023-11-08 (水)(令和5年癸卯)<旧暦 9 月 25 日>(先負 庚午 九紫火星)立冬 Vendela   第 45 週 第 27301 日

 

そこに秦舞陽といふ兵がゐた。これも秦の国のものである。13歳の時に仇をうって、燕の国に逃げ込んできた。ならびなき兵であった。彼が怒って向かふ時は、大の男も気絶してしまふほどであった。また笑って向かふ時は、みどりごも抱かれた。彼は秦の都の様子にも詳しい。荊軻はこの男と一緒に秦に行くことにした(「風蕭々として易水寒し 壮士一たび去りて復た還らず」の詩で有名なシーン)。ある片山のほとりに宿をとった。するとそのほとりに近い里から管弦の音が聞こえてきた。その音楽の調子を五行(木火土金水)に当てはめて、自分たちの目的の成否を占った。すると敵方は水、我が方は火と出た。さうかうするうちに天も明けた。白虹日をつらぬいてとほらず。「我らが本意を遂げることは難しからう」との託宣を受けたのである。

立冬の日に庭前に落ちた我が家のイチョウとカエデ。